小泉 明郎

自由ノ暗示催眠実験

2021、鑑賞者の意識、実験の音声、インストラクション、アンケート(21分11秒)

©︎ KOIZUMI Meiro

CURATOR’S NOTE

本作は、催眠術師・研究者の漆原正貴氏とのコラボレーションにより制作された、世界中の鑑賞者が参加可能なオンライン・パフォーマンス作品である。鑑賞者は「鏡で自分の顔を見ること」など小泉の指示に従い特定の環境で催眠暗示を聞きながら、あるパフォーマンスをすることが求められる。そのパフォーマンスを介して自身が催眠にかかるか否かを試すことが期待されている。

作家は漆原氏の催眠を体験し氏との対話から催眠状態を認知の「バグ」だと理解。本作を「自由に関する催眠実験」と位置付け、物理的制限を課されている今日の私たちが凝り固まった世界観や人間観から少しだけ解き放たれるきっかけになることを試みる。自粛や遠慮など自らを抑制することが日常の一部となっている日本のコロナの禍を背景に、人間の精神的自由やこの「自由」という状態が内包する矛盾、さらに人間の認知のメカニズムにおける言語の役割について一考を促すのである。

なお、本作はサウンドだけでは成立せず、実験体験者の意識自体が作品の素材となる。ぜひ、あなたの意識というメディウムの潜在性に気づいていただければと思う。(K.K.)

*本作はみなさんが催眠術にかかる可能性があるものです。ご自身の責任で体験することをお願いいたします。

CREDITS

催眠術協力・アドバイス・実験設計

漆原正貴

コーディネート

坂田太郎

英語版音声

山田カイル

録音

藤口諒太

Courtesy: Annet Gelink Gallery (Amsterdam) & MUJIN-TO Production (Tokyo)

PROFILE

photo: Matadero Madrid/Photo: Bego Solís

小泉 明郎(こいずみ・めいろう)

1976年群馬県生まれ。現在、神奈川県在住。国家や共同体と個人の関係について批評性の高い映像作品を制作し、戦争や大震災の記憶やトラウマ、皇室、社会に潜む闇や狂気等を主題に扱ってきた。暴力や自己犠牲の感情が生まれるメカニズムや、人間の身体と感情の関係について、考察するものも多い。インタビュー映像を用いて、当事者たちの感情を追体験させる演劇的な映像は、現実と虚構が交錯する。近年では、サウンド作品やVRを使った作品も手掛け、表現方法が広がっている。
主な展覧会やフェスティバルに、「シアターコモンズ’21」(東京、2021)、「あいちトリエンナーレ2019」(愛知、2019)、「上海ビエンナーレ2018」(上海、2018)、個展「捕らわれた声は静寂の夢を見る」(アーツ前橋、群馬、2015)、個展「プロジェクト・シリーズ99:小泉明郎」(ニューヨーク近代美術館、ニューヨーク、2013)など。