潘 逸舟

SLOW SAMBA -- Practice to Dance with You --

2021、ビデオ(11分34秒)

©︎ Han Ishu

CURATOR’S NOTE

開国まもなくから、外国との玄関口であった港町・神戸。外国人居留地跡が残る異国情緒にあふれたこの街は国内有数の観光地である。神戸はまた、さまざまな産業が営まれてきた土地であり、現在その労働の担い手の多くは外国人技能実習生である。労働人口の減少にあえぐ日本の産業は彼らなしには成り立たず、反面その待遇の低さは目を背けられてきた。

2019年から20年にかけて、潘は神戸での個展に際してこの街を訪れ、製靴工場をはじめ外国人技能実習生が従事する労働と日常生活の現状を、彼らとの交流を通じて調査した。取材の過程で、神戸の地が「外国からの玄関」であったのみならず、かつて多くの日本人がブラジルへ移住した「旅立ちの地」であったことがわかる。移民としてブラジルでの労働に従事した日本人、そして現代の日本に暮らし、働く外国人技能実習生。それぞれの背景が挿入された「靴とのダンス」は、連綿と続く支配/被支配の構図を露わにすると同時に、時代や国がいかに異なろうと「ともに踊る」ことで関係を結び得るという希望を示す、両義的な行為といえるだろう。(N.S.)

CREDITS

潘逸舟

協力

ANOMALY、一般財団法人日伯協会・移住ミュージアム、株式会社ベル、神戸アートビレッジセンター、神戸映画資料館、国際交流基金、国際交流シェアハウスやどかり、MAY加工所、嶺岸ソシアルダンスカンパニー

PROFILE

撮影:野村佐紀子

潘 逸舟(はん・いしゅ)

1987年、上海生まれ、東京都を拠点に活動。
社会と個人の間で生じる疑問や戸惑いに着目し、共同体や社会におけるコミュニケーションの成り立ち、アイデンティティのあり方を、自らの身体や大量生産されるものを用いて問う映像作品、インスタレーションを発表している。
主な展覧会に、「日産アートアワード2020 ファイナリストによる新作展」(ニッサンパビリオン、2020)、「Thank You Memory—醸造から想像へ—」(弘前れんが倉庫美術館、青森、2020)、「いらっしゃいませようこそ」(個展/神戸アートビレッジセンター ART LEAP2019、兵庫、2020)、「The Drifting Thinker」(個展/MoCAパビリオン、上海、2017)、「Sights and Sounds: Highlights」(ユダヤ博物館、ニューヨーク、2016)など。日産アートアワード2020」グランプリ受賞。